レコーディング中に読み始めてはまずいので終わってからとりかかり、一気に読んでしまいそうなのをぐっとこらえて昨日今日で読み終わりました。鳴海章さんの「微熱の街」(小学館)。御本人から「テラさんの歌のフレーズがいっぱい出て来るのでお楽しみに」とのことでしたが、実に効果的に使っていただけていて光栄でありました。(ちなみに主人公の通称は「テラさん」です・笑。)
でも途中からはそんなことよりも、物語自体にぐいぐいひきこまれ、意外意外な展開にどきどきと。でももちろんそれだけではない深い感動が。鳴海さんは実に多彩なタイプの作品を書く人なので、あまり大雑把なことを言っては失礼になってしまうけれど、オレの歌を聴いていただけてる方にはおなじみの「風花」や「輓馬」、そして「痩蛙」とも違う。ただ今回の主人公も「ヒーローでもアンチヒーローでもない」男。 一昨年の夏、帯広で初めてオレのライブを観てくれた鳴海さんが、その打ち上げの席で「テラさんはさあ、ヒーローでもアンチヒーローでもないやつのことを歌ってるよね。俺もそうゆうやつのことを書いているんだけどね。」と語ってくれたことを思い出す。視線の高さが近いのだろうか。その夜、2歳年上の鳴海さんとオレは毒舌を交えながらすっかり飲み友だち化してしまったのでありました。 いわゆるお決まりのハッピーエンドではない。だけれども絶望ではない、だからといって安易な希望ではないなにか光のようなものを受け手に感じさせられたら、とオレは自身の表現に向かっているのだけれど今回の鳴海さんの「微熱の街」にオレはその感覚を共通に感じてしまう。そしてつい今しがた唐突に(シチュエーションも登場人物のタイプも全然違うのだけれど)昔観たニューシネマ「わらの犬」のラストシーンを思い出してしまった。今あの映画を観たらどんな風に感じるのかな?観てみたい。 うーん、なんだかわけのわからない文章になってしまったけれど、本屋さんの店頭にならぶ日も近いと思いますのでみなさん是非読んでみて下さい。オレの歌を知らなくたって関係なくそのよさが伝わる作品であるのは当然のことですが、オレの歌をよく知っている人には「ひと粒で2度おいしい」(笑)と思います。さっき読み終わりブックエンドに立て、ふと背表紙の「微熱の街」のロゴを見て、しみじみうれしかったなあ。 鳴海さん、よくぞ約束を果たして下さいましたね。本当にありがとうございます。
by teradamachi
| 2007-05-21 05:17
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