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瀬尾高志のブログから勝手に転載しちゃうのだ!
 中部関西ソロツアーから帰って久しぶりにパソコンを開いてみると、わが大切な相棒の一人、札幌のコントラバス奏者、瀬尾高志のブログに先日の「寺田町三日月楽団」北海道ツアーの素敵な記録が!これはうれしくてやつには内緒で勝手に転載しちゃいます(笑)。
以下瀬尾高志の文章です。

寺田町三日月楽団 旅日記前篇

寺田町三日月楽団のツアーが終了して、ほっとしていたら風邪をひいて、だいぶ寝込んでしまった。予定していた旅もできずにがっくり。
その分、楽器を調整しなおしたり、故障していた機材をいろいろ直して、これで今年度も万全だ。

そうだ、三日月楽団ツアーのことを書いていなかった。
寺田町さんとの出会いについては、この寺田町通信 vol.52 に書いてあるので、そこを参照してもらえればと思う。全国を旅しながら歌い続ける本物の歌歌いだ。
そして、バンドネオンの小川紀美代さん。初めて生でバンドネオンを聴いた。イスに片足をかけて弾く姿は、非常に格好がいい。今までに共演したどんな楽器とも違う音の速度感と音質。
『悪魔の楽器』と称されるほど難しい楽器らしい。確かに弾いている指を見ていると、全然規則的でなくて怪しい動きをしている。そのうち、俺の楽器の弦が全て切れだし。真赤な血吹雪が吹き乱れる。ステージでは、寺田町さんが充血した眼をしてコウモリを生で食している⋯。

なんてことにはなりません!弦も切れたりしない!すこし、変な気持にはなっても、コウモリを食べたりしませんよ。寺さんは。
そう、悪魔の楽器って呼ばれるんだってさ。コントラバスは妖怪大提琴だから、仲良しだね。

岩見沢M’S BARでの初日。噂には聞いていたけど、凄い盛り上がり!
各地でここまで愛される寺田町さんの、音楽や人との向き合い方に、改めて凄いぜって思った。こんなふうに、大切に音楽を続けていきたいと思う。
今回の旅は、ここ岩見沢の方たちが非常に頑張って動いてくれて実現したツアー。M’Sマスターの戸川さんはじめ皆さん本当にどうもありがとうございました!

2日目は、富良野地麦酒館。岩見沢で美容師「SEVENTH HIGH / beauty store !!! 」をやられている上村さんがセッティングしてくれたライブだ。
富良野で演奏するのは初めて。昔、雪印が色々やってしまった頃に『富良野JAZZフェス』っていうのがあって、それが凄くいいジャズフェスだったのを思い出す。ドラムのロイヘインズが素晴らしかった!老いてなお最前線。
『唯我独尊』というカレー屋さんをしている宮田マスターも最前線にいる熱いオヤジだった。カレーも美味しかったけど、ソーセージやサラミなどを手作りしていて、それも凄くうまかった。打ち上げでは、富良野の山の幸がたくさん!アスパラがもう素晴らしすぎて!ビールが止まらないです。
もちろん、ライブもいい感じにできて、この日バンドネオンとのアンサンブルにちょっとした変化が生まれて、お!この感じって面白い!という光が見えた瞬間があった。こういう感覚がすごく大切で、そこからまた音楽が溢れ出てくるのだ。

その日は、宮田さんのお宅に泊めていただいて、そこがまた素晴らしいロケーション。完全に山の中。ディープな北海道を体験できた。そこでの、宮田マスターとのお話も酒も尽きることなく続き、旅はいいなぁと心底感じた夜。上村さん、宮田さんどうもありがとうございました!

3日目は帯広の雑貨屋さん「彩優木」。またまた岩見沢の大徳さんがフルパワーで動いてくれての帯広ライブ。お疲れ様でした!本当にありがとう!!
雑貨屋さんでライブをやるのは初めて!と寺さんも大興奮だったが、会場設営から、ライティングに気を配ったり、窓にアジアンな布を張って雰囲気を考えてみたりと、そんなみんなの工夫が功を奏して、本番は凄くいい雰囲気でライブができた。
帯広に来るといつも共演してもらっているピアニストの藤原志津花さんや、JUNKに縁のあるリオさんも来てくれている。このお二人は宣伝をたくさんしてくれて、志津花さんはラジオにまで出て宣伝してくれた。本当に感謝です!
さらに、客席一番前には、見慣れた女性が必死に俺と目を合わせないようにしている。あ!井浦さん!そう、よく共演している札幌のシンガー井浦しのぶ姉さんだ。遠くまでわざわざ聴きに来てくれるなんて、後でたくさん飲もう!と心に決めた。
先日、帯広美術館で演奏したのだが、その時来てくれたお客さん達も来てくれていて凄くうれしかった!!「俺、低弦見に行ったんだよ!あれ凄かったよな!」と嬉しい言葉。

演奏も毎日全然違う。音での濃厚な会話。バンドネオンとのアンサンブルがこの楽団の肝、最初から強烈に音楽が広がっていたのだが、旅とともに、深みと優しさが増していき、深い響きを作れるようになっていった。この集大成は最終日の浪漫風での「ルチア」に現れたと思っている。
この日の打ち上げは、ホテルの部屋飲みまで発展!まるで学生のようにはしゃぎまくる寺さんはじめとした一同。眠りかける井浦さんを揺り起こし、また乾杯。そして、撃沈。いいライブの後は、いい酒。笑顔。

4日目は、釧路ジスイズ。寺さんとは初ジスイズだ。このジスイズ、音楽のみならず演劇・文学・映画・舞踏などいろいろなジャンルの文化発信の場として昔から釧路にあるJAZZ喫茶だ。マスター小林東さんの情熱と生き様が凄い!熱い!
店内では、舞踏家の大野一雄さんの大きな写真が目を引く。物凄いエネルギーが静かに充満しているジスイズの空間。そこの静寂から生まれる音。空間の密度が増してマグマのように沸き立つ。
寺さんと紀美代さんと、この場所で演奏できることを非常に嬉しく思う。酒もたばこもやらずに、ただ真剣に音楽を聴く、いつものジスイズのお客様がそこにいた。そこで、まっすぐに自分達の音楽をぶつけることができて、三日月楽団の音がまた一つ変わっていった気がした。
「毎日が革命なんです!」と東さんがおっしゃる。手を握り合いながら今日このまたとない時間を共に過ごしたことを確認する。胸が熱くなった。

次の日は移動日で演奏がないので、打ち上げの後、寺瀬尾部屋に紀美代さんが来て、楽団員のみの打ち上げが勃発。全裸で扉が〜〜そこからはもう書けません(自滅)
紀美代さんは凄い人だなと、思いました⋯。そうやって、楽団員の気綱は深まっていくのでした。そうだ、酒を飲もう!それがバンド。

旅日記前半おしまい。


寺田町三日月楽団 旅日記後篇
 
寺田町三日月楽団 旅日記後編 5日目 釧路ー札幌 移動日

旅は5日目、釧路から札幌までの移動日。折角来たんだから、北海道を感じてもらいましょう。ということで、釧路湿原へ。毛綱毅曠氏が設計した釧路市湿原展望台(ヤチボウズをデザインにって書いてあったけど、女性器じゃなかったっけ?あれれ?)を横目に、湿原展望遊歩道へ。ヒグマが出るので入らないでくださいみたいな紙があった気がしたけど、ずんずんと森の中へ。ちょうど天気も良くて、だだっ広い釧路湿原の広さを実感できた。ヒグマ出没の危険もあったので、大声でみんなで馬鹿話。楽しかったなぁ。

その後は、鶴を見に鶴居村へ。鶴いました!!白!
管理人らしきおばあちゃんが、鶴のためにジュースを買っていってと言うので、寺さんはジュースを買っていた。あのおばあちゃんが保護しているのかと思うと頭が下がります。
その後は、前にカニさん達と行って、すっごく美味しかった記憶があるレストラン「ハートンツリー」に。丘の上にあるスローフードなレストランで、ヤギや黒豚や鶏が出迎えてくれる凄く素敵なお店。店内にはめちゃくちゃにかわいい犬がいます。ふかふか。
そこで、手作りパスタにピザにミルクカレーにナン。野菜もものすごく美味しいし、なんだか心身ともに暖かくなる味。
あ〜、ヤギもかわいいなぁ。幸せだなぁと時間はもう3時半。おいおい、ここは釧路より遠いんだよ。そんなこんなで、楽しく遊んで、釧路出発は4時。札幌までの350キロドライブを眠らずに過ごすため、みんなで緊迫感のある「しり取り」をしたりして、まるで遠足。こういうときの、変に緊迫したルールを作る寺さんは天才的。
この日作った交通標語
「あなたが眠い時 運転手も眠い」by.瀬尾高志

札幌に帰って、寺さんと飯でも食おうと寄った「つくしんぼ」で、バリトンサックスの武内やらドラムのキャッツなど北大JAZZ研の猛者がもう飲んでいた。ちょっと寄るだけだったのに〜!熱い夜が始まってしまった。途中からは記憶も切れぎれ。武内は熱かった。寺さんも。

6日目は、盤渓のL.I.Bギャラリーで。ここの響きを大切にしたいよねと全員生音で。
SAXの奥野義典さんが家族で聴きに来てくれた!もちろん数曲飛び入りしてもらう。SAX音でけぇ!!思わず登場した瞬間笑ってしまった。
札幌にいながらにして、北海道の自然を味わえる貴重な場所。薪ストーブの音が暖かい静寂を演出してくれる。そこに集まる暖かなお客さん達も本当に大好きだ。打ち上げでは、札幌のピアニスト中島弘惠と寺さんのDUO。空気が一瞬にして変わったこの日の打ち上げでの最高のセッション。この瞬間に居合わせたことの貴重さと嬉しさ。

7日目は浪漫風で、三日月楽団ツアー最終日。このお店との縁で寺さんは北海道での演奏を続けるようになったらしい。俺自身も、学生のころ、大学が近くにあったせいもあり、この店に来ては先輩達の演奏に飛び入りしJAZZを覚えた時期があった。こうやって、寺さんと浪漫風で演奏をできることが非常に光栄で嬉しいことだ。
この日の演奏は、まさに旅の集大成。先にも書いたが「ルチア」では、今回の旅で生まれた音楽が全て絡み合って表現できた気がする。三日月楽団でしかない、優しく愛に包まれた音楽だった。やはり旅はいいと実感した演奏だった。終演直後に、浪漫風のおっかさんが「満月のような三日月だった!」と叫んでいた。まさに至言。寺田町ファンサイトを運営するヤマグチコージさんも東京から駆け付けてくれている。いつもライブに来てくれているお客さんも、寺さんのライブに興味を持って来てくれた、もちろん寺さんのファンのかたもたくさん。凄い一体感を感じたライブだった。こういうライブができて本当に嬉しい!
(中略)
浪漫風のマスター佐藤さん、おっかさん、スタッフの皆アミさん、ヤチヨさん、本当にありがとう!いつもここで演奏できることが嬉しいです。そして、寺さん、紀美代さん、寺田町三日月楽団でツアーができて本当に楽しかったし、刺激的でした。また、いろんなところで演奏したいですね。これからもよろしくです!

そして、旅は8日目。小川紀美代さん(Sきよ姉さん)が、東京に帰るので、最後の札幌観光として坂ビスケットへ。ここのレトロスペース坂はいつ来ても素晴らしいです。物への愛情、そして、なんだかわからないエロティシズム。なんとこの日は、館長にも会えて、そして、話が盛り上がって、紀美代姉さんは、車に楽器を取りに行って、演奏まで始めてしまった!
まるで映画のような時間だった。
凄かったなぁ。
館長も、スタッフのお姉さんも凄く嬉しそうにしてくれて、なんだか俺も嬉しかったし、みんな幸せだったかな。
千歳でSきよ姉さんとは涙のお別れをして、札幌に戻り寺さんのソロライブat平岸フライアーパークへ。名前は知っていたけど初めて行くライブハウス。
旅のラストは寺さんのソロ。岩見沢からかずおさんと大徳さんのお二人が。大徳さんは帯広を主催してくれて、本当に素晴らしい働きをしてくれた方。わざわざ札幌まで来てくれるなんて、寺さんの人望には改めて感動した。井浦さんも鍵盤ハーモニカを持って来ている。ギターの池田さんも飲んだくれている。
1ステージのラストで歌った「旅をつづけなくちゃ」には、かなりやられてしまった。そうだ、旅を続けなくちゃ!って本気で思えたもの。この日の寺さんのソロは本当にすごいレベルのライブだった。札幌の唄歌いのみんな来いよ!って思ったなぁ。寺さんのギターとかも聴いて!弾き語りをしてるみんな!寺田町を聴け!そこから感じてくれ!
2ndセットでは、俺も飛び入りして数曲、井浦さんも飛び入りして、みんなで「夜を泳ぐ魚」と「夜はやさし」を熱演。ライブ後も馬鹿話で盛り上がり、その後は寺さんと「串ごん」で打ち上げ。またの共演の約束をして別れる。

約1週間だったけど、もの凄く濃密で楽しい旅だった。いい出会いもたくさんあったし、みんなに本当に感謝!!旅はいいな。旅を続けなくちゃ。(瀬尾高志)

オレはこんな共演者がいてくれることを心の底から幸せに思う。
by teradamachi | 2008-04-17 03:08
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旅する歌唄い“寺田町”。 旅をつづけなくちゃ...